揚げものと、静かな夜
夕方、少し冷たい風が吹くなか、近くの商店街に足を向けた。通りは静かで、店先の灯りだけがぽつぽつと目に入る。 コロッケ、蓮根のはさみ揚げ、小さな唐揚げをいくつか。惣菜屋のショーケースには、すでに夕方の名残のような品が並んで…
夕方、少し冷たい風が吹くなか、近くの商店街に足を向けた。通りは静かで、店先の灯りだけがぽつぽつと目に入る。 コロッケ、蓮根のはさみ揚げ、小さな唐揚げをいくつか。惣菜屋のショーケースには、すでに夕方の名残のような品が並んで…
午前中から静かに降っていた雨は、昼を過ぎても止まなかった。細かな雨粒が、窓に淡く打ちつける。強くはないけれど、ずっと続いている。その音は不思議と落ち着くもので、室内の空気までやわらかくしていた。 こんな日は、外に出かける…
雨が降ると、部屋の音が少し変わる。窓を打つやわらかな雨音と、静かに流れる空気の重なり。そんな日の午後は、早めに明かりをつけて、湯を沸かす。テーブルに置いたカップの下、白いコースターにぽたりと小さな水滴が落ちた。 静かに座…
その日は朝から、少しだけ空気がやわらかかった。 夏が近づいているのを感じるのは、温度というよりも、光の輪郭だった。窓の向こう、建物と建物の隙間から射し込んでくる光が、いつもより広がって見える。影がうっすらと伸び、そこに風…
窓のカーテンを少しだけ開けて、西の光が斜めに差し込むのをそのままにしていた。まだ照明をつけるほどではないけれど、部屋の中の明るさは、静かに変わりはじめている。 今日はいつもより少し早く帰ってきた。まだ一日の終わりという感…