銀色の箱に詰めるもの
昼を過ぎたあたりから、空気がすこしやわらいできた。午前中の湿気が残ってはいるけれど、扇風機の風が届くようになると、部屋のなかの気配が落ち着いてくる。今日は、昼ごはんを弁当箱に詰めるつもりでいた。行くあてもないし、特別な理…
昼を過ぎたあたりから、空気がすこしやわらいできた。午前中の湿気が残ってはいるけれど、扇風機の風が届くようになると、部屋のなかの気配が落ち着いてくる。今日は、昼ごはんを弁当箱に詰めるつもりでいた。行くあてもないし、特別な理…
昼ごはんを食べ終わって、少しのんびりしていた。外は曇っていて、明るすぎず暗すぎず、静かな空気が部屋に漂っていた。今日は特に予定もなく、家の中でゆっくり過ごすつもりだった。 何をするわけでもないけれど、こういう日の午後は好…
雨が降ると、部屋の音が少し変わる。窓を打つやわらかな雨音と、静かに流れる空気の重なり。そんな日の午後は、早めに明かりをつけて、湯を沸かす。テーブルに置いたカップの下、白いコースターにぽたりと小さな水滴が落ちた。 静かに座…
夕方、台所の窓から差し込む光が、 少しだけやわらかくなっていた。 カーテンも揺れず、部屋の空気は穏やかで、 その時間を静かに受け入れていた。 昼に炊いたご飯の残りを温める。 湯気がふわっと立ち上がり、 茶碗に移すと、手の…
昼を少し過ぎたころ、部屋の中に風が通った。大きく窓を開けたわけではなかったのに、どこか遠くの空気が、ゆっくりと移動してきたような、そんな静かな動きだった。 こういう日は、なにか特別なことをしようとは思わない。むしろ、日常…