夕方に流れる砂の音
一日の中で、いちばん空気がやわらかくなるのは夕方かもしれない。西日が部屋の隅に差し込みはじめると、いつのまにか心がゆっくりとほどけている。今日の終わりを意識しながらも、まだ少しだけ余白があるようなこの時間帯が、昔からずっ…
一日の中で、いちばん空気がやわらかくなるのは夕方かもしれない。西日が部屋の隅に差し込みはじめると、いつのまにか心がゆっくりとほどけている。今日の終わりを意識しながらも、まだ少しだけ余白があるようなこの時間帯が、昔からずっ…
目が覚めたのは、いつもより少し早い時間だった。窓の外は明るくなりはじめていて、カーテンの隙間からやわらかい光が差し込んでいる。天気はよさそうだった。音もなく、空気が静かで、今日という日がまだ始まっていないような感覚があっ…
夕方の光がやわらいできて、部屋のなかにあるものの輪郭が少しぼやけるようになると、なんとなく一日が折り返されたような気がして、少しだけ丁寧に過ごしたくなる。火を使って食事の支度をするのも、そのひとつの形かもしれないと思った…
昼ごはんを食べ終わって、少しのんびりしていた。外は曇っていて、明るすぎず暗すぎず、静かな空気が部屋に漂っていた。今日は特に予定もなく、家の中でゆっくり過ごすつもりだった。 何をするわけでもないけれど、こういう日の午後は好…
夕方、少し冷たい風が吹くなか、近くの商店街に足を向けた。通りは静かで、店先の灯りだけがぽつぽつと目に入る。 コロッケ、蓮根のはさみ揚げ、小さな唐揚げをいくつか。惣菜屋のショーケースには、すでに夕方の名残のような品が並んで…
目が覚めたのは、思っていたよりも早い時間だった。窓の外はまだ明るくなく、空はくすんだグレー。雨ではないけれど、どこかしっとりとした空気が漂っている。 もう一度寝てもよかったけれど、目覚めてすぐの気分が悪くなかったから、そ…
朝から降っていた雨は、午後になっても止む気配がなかった。強く降るわけではないけれど、途切れずに静かに続く雨音が、部屋の空気を包んでいる。梅雨らしい日。窓の外に広がるのは、どこまでも湿り気を含んだ白い景色だった。 こういう…
目が覚めた瞬間、お腹が鳴っていた。ちょっと小腹がすいた、なんてものじゃなくて、体の奥の方から湧いてくるような、強い空腹感だった。 昨夜は、簡単なもので済ませてしまった。作る気力が出なくて、軽く食べて、そのまま早くに眠った…
夜になると、急に静かになる日がある。空気が澄んで、部屋の中にいるとその外の静けさまで伝わってくるような感じ。そんな夜は、何をするでもなく、ただ温かいものを作って食べて眠る。そういう日があってもいいと思っている。 食事のこ…
午前中から静かに降っていた雨は、昼を過ぎても止まなかった。細かな雨粒が、窓に淡く打ちつける。強くはないけれど、ずっと続いている。その音は不思議と落ち着くもので、室内の空気までやわらかくしていた。 こんな日は、外に出かける…