銀色の箱に詰めるもの
昼を過ぎたあたりから、空気がすこしやわらいできた。午前中の湿気が残ってはいるけれど、扇風機の風が届くようになると、部屋のなかの気配が落ち着いてくる。今日は、昼ごはんを弁当箱に詰めるつもりでいた。行くあてもないし、特別な理…
昼を過ぎたあたりから、空気がすこしやわらいできた。午前中の湿気が残ってはいるけれど、扇風機の風が届くようになると、部屋のなかの気配が落ち着いてくる。今日は、昼ごはんを弁当箱に詰めるつもりでいた。行くあてもないし、特別な理…
朝、早く目が覚めた。夏が近づくにつれて、自然と目が覚める時間が早くなっていく。カーテンの向こうからやわらかい光がさしていて、少しだけ風もある。 顔を洗い、簡単に掃除を済ませて、キッチンに立つ。今日はそうめんにしようと思っ…
朝、いつもより少しだけ早く目が覚めた。窓を少しだけ開けると、風がすっと入り込んできて、カーテンがわずかに揺れる。空は白んでいて、まだ太陽は顔を出していない。けれど、その気配はもう、うっすらと空気に滲んでいた。 手洗いのつ…
週末の朝、いつもより少しゆっくりと目が覚めた。天気は曇りがちだけれど、湿気は少なくて、窓を開けると涼しい風が静かに入ってきた。今日は予定もない。だからこそ、何かひとつ、自分のためにごはんをつくってみようと思った。 ただの…
朝から雨だった。窓の外はけぶるような灰色の空。細かな雨が静かに降り続いていて、葉の先にたまった水滴が時おりぽとりと落ちる音が聞こえている。6月のはじめは、こうして空気が湿っている日が増えていく。季節がまたひとつ進んでいく…
昼の気配がまだ残っているうちに、台所に立った。今日は少し手間をかけて、グラタンを作ろうと思っていた。特別な日というわけではないけれど、なんとなく、そういう気分だった。 買い物は昨日のうちに済ませてある。鶏肉と玉ねぎ、じゃ…
夕方の光がやわらいできて、部屋のなかにあるものの輪郭が少しぼやけるようになると、なんとなく一日が折り返されたような気がして、少しだけ丁寧に過ごしたくなる。火を使って食事の支度をするのも、そのひとつの形かもしれないと思った…
目が覚めた瞬間、お腹が鳴っていた。ちょっと小腹がすいた、なんてものじゃなくて、体の奥の方から湧いてくるような、強い空腹感だった。 昨夜は、簡単なもので済ませてしまった。作る気力が出なくて、軽く食べて、そのまま早くに眠った…
午後の光には、なんとなく落ち着いた空気がある。少し前までの時間とは違って、日差しがやわらかく、空気の流れも静かに感じられる。この時間に何かをするでもなく、ただ過ごせるようになったことが、最近になってようやく心地よく思える…
朝からうっすらと雲が広がっていた。晴れているようで、そうでもない。部屋に入ってくる光も、どこかやわらかく、色が少ない。 気温はそれなりにあるはずなのに、じっとしていると肌寒く感じる。なんだか、音が遠く感じる日だった。こう…