手の中に、静かなかたち
朝、いつもより少しだけ早く目が覚めた。窓を少しだけ開けると、風がすっと入り込んできて、カーテンがわずかに揺れる。空は白んでいて、まだ太陽は顔を出していない。けれど、その気配はもう、うっすらと空気に滲んでいた。 手洗いのつ…
朝、いつもより少しだけ早く目が覚めた。窓を少しだけ開けると、風がすっと入り込んできて、カーテンがわずかに揺れる。空は白んでいて、まだ太陽は顔を出していない。けれど、その気配はもう、うっすらと空気に滲んでいた。 手洗いのつ…
今日は特に予定を立てずに、朝からのんびりと過ごしていた。少し遅めの朝ごはんを食べて、部屋を片付けて、それから湯を沸かしてお茶を淹れた。そんな静かな時間も嫌いじゃないけれど、ふと「外の空気が吸いたいな」と思った。 どこか遠…
少し前から、気になっていたものがある。オイルランタン。昔ながらの灯りの道具。 ずっと家では、電池式の小さなランタンを使っていたけれど、どこかで本物の火に惹かれる気持ちが消えなかった。それで、思い切って買ってみた。 けれど…
静かな朝だった。まだ夜の余韻が空に残る頃、目を覚ます。 眠り足りないわけでも、特別早く起きた理由があるわけでもない。ただ、身体が自然と起きてしまった。外はしんとしていて、風もない。 こういう日は、少しだけ遠くへ行きたくな…
少し心がざわつく日だった。理由は明確ではない。誰かとぶつかったわけでもなく、特別な出来事があったわけでもない。ただ、なんとなく落ち着かない。 こういう日は、無理に何かを片づけようとせず、気持ちが流れるほうへ身を委ねること…
鉄器のやかんを使うようになったのは、少し前にふらりと立ち寄った雑貨屋で見つけたのがきっかけだった。棚のいちばん奥、少し埃をかぶったような佇まいで置かれていたそのやかんは、重たくて、少し無骨で。でも、なぜか心惹かれてしまっ…
風が通るたび、窓辺の風鈴が小さく鳴る。その音は決して強くはない。けれど、耳を澄ませば、確かに空間に響いているのがわかる。 まだ朝の早い時間。窓を少しだけ開けて、ゆっくりと空気を入れ替える。部屋の奥にまで風が届くように、静…
昨夜のうちに、少し多めにごはんを炊いた。しっかり食べたはずだったのに、思った以上に余ってしまって、冷凍する前に、棚に置いてあった陶器のおひつを手に取った。台所の隅に、ずっとそこにあったもの。自然と使うようになったのは、こ…
週末の朝、いつもより少しゆっくりと目が覚めた。天気は曇りがちだけれど、湿気は少なくて、窓を開けると涼しい風が静かに入ってきた。今日は予定もない。だからこそ、何かひとつ、自分のためにごはんをつくってみようと思った。 ただの…
梅雨の晴れ間。薄い雲の向こうからぼんやりと光がさして、部屋の奥まで、白っぽい明るさが静かに広がっていた。洗濯物を干すには湿度が高そうだったけれど、だからといって何か急かされることもなく、ゆっくりと朝が動き出している。 こ…