レーズンパンの香りと、目覚めた朝
日が落ちて、部屋の中がしんと静まるころ。カーテンを閉め、食事の片づけも終えて、ひと息ついた夜だった。 少し甘いものが食べたい気分で、でもお菓子というより、焼きたてのパンがいいなと思った。そうだ、明日の朝に合わせて、ホーム…
日が落ちて、部屋の中がしんと静まるころ。カーテンを閉め、食事の片づけも終えて、ひと息ついた夜だった。 少し甘いものが食べたい気分で、でもお菓子というより、焼きたてのパンがいいなと思った。そうだ、明日の朝に合わせて、ホーム…
朝、少し早めに目が覚めた。窓の外はまだ柔らかな光で、カーテン越しに淡い青が広がっている。 今日はゆっくりと朝ごはんを作ることにした。特別なきっかけがあったわけではないけれど、静かな空気に誘われたような気がした。 キッチン…
気温はそれほど高くないのに、じんわりと湿気がまとわりつく。晴れているのに、空気の輪郭がぼやけていて、肌にも空気にも、どこかしら梅雨の気配が混じっているような午前中。 台所に立つには、少し気が重かった。火を使うと、余計に部…
夕方になると、窓から差し込む光がすこしずつ傾いてきて、部屋の奥の空気までやわらかくなるように思う。 冷蔵庫の中をのぞいて、すこし考えてから、今日は簡単に、炒めものをつくることにした。 小松菜と人参、それからピーマンとしめ…
静かな朝だった。部屋の隅にまだ夜の影が残っていて、カーテン越しの光が、ゆっくりと輪郭を浮かび上がらせていく。少し冷えた空気の中で、台所に立つ。 湯を沸かす音が響く間に、冷凍していたごはんを温め、小さな鍋に出汁を注ぐ。豆腐…