レーズンパンの香りと、目覚めた朝

日が落ちて、部屋の中がしんと静まるころ。
カーテンを閉め、食事の片づけも終えて、ひと息ついた夜だった。

少し甘いものが食べたい気分で、でもお菓子というより、焼きたてのパンがいいなと思った。
そうだ、明日の朝に合わせて、ホームベーカリーでパンを仕込んでおこう。
焼きたてのパンの香りで目覚める朝は、なんともいえず心が満ちる。

台所の棚から、強力粉とドライイースト、砂糖、塩、バターを出す。
今日はレーズンをたっぷり入れたパンにしよう。
レーズンはふわっと甘い香りが広がって、朝の食卓がやわらかい雰囲気になる。
仕上げに、ほんの少しだけローストしたくるみも加えてみる。

ホームベーカリーのパンケースを取り出し、計量を始める。
粉を入れ、塩と砂糖を加え、冷たい水を注ぐ。
バターは小さく切って、角にそっと置く。
ドライイーストは別のポケットに入れるタイプの機種なので、そこに軽く入れる。

静かな夜に、計量カップの音や、スプーンで粉をすくう音が小さく響く。
ホームベーカリーの蓋を閉め、予約タイマーをセットする。
焼き上がりは朝7時半にした。これで、ちょうど目が覚めるころに焼きたての香りが部屋に広がっているはず。

レーズンとくるみは自動投入の設定にしてあるので、途中でアラームが鳴ることもない。
あとはおまかせだ。

ホームベーカリーのランプがやさしく点灯して、静かに待機状態になる。
その小さな光を確認して、台所の明かりを落とす。
明日の朝が、ちょっと楽しみになる。
そんな気持ちで、寝室へ向かった。

ほんのり明るさを感じて目が覚めた。
まだアラームの鳴る少し前の時間だったけれど、どこかふわっと甘い香りが漂っている。
少し目をこすりながら、時計を見るとちょうど6時過ぎ。
そろそろ焼き上がるころだ。

寝室のドアを開けると、パンの焼ける香りがはっきりと漂ってきた。
部屋全体がふんわりとした甘さに包まれていて、まだ少し眠たさの残る体がゆっくりと目覚めていく。

台所に行き、ホームベーカリーの前に立つ。
あと数分で焼き上がりのタイマーが鳴るところだった。
小さな窓から見えるパンの表面は、こんがりと色づいていて、とてもよい仕上がりになりそうだ。

その間に、テーブルを整える。
ランチョンマットを敷き、お気に入りのバターとジャムを出す。
カフェオレも用意しようと、ミルクパンでミルクを温めておく。
静かな朝の支度。
パンの焼き上がりを待つこの時間もまた、穏やかで好きだ。

やがてホームベーカリーのタイマーが小さな音を鳴らした。
ふたをそっと開けると、こんがりと焼けたレーズンパンが現れる。
甘く香ばしい香りが、さらにふわっと広がる。

焼き立てのパンは、すぐに取り出して粗熱を取る。
パンケースからそっと取り出すと、手に持ったときの重みが心地よい。
焼き色もきれいで、レーズンがちらりと表面に見えている。

少し落ち着いたところで、パンナイフでカットする。
刃を入れると、パリッとした薄い皮の音のあと、ふんわりとした生地の断面が現れる。
ところどころにレーズンとくるみが散りばめられている。

テーブルに運び、カフェオレを注ぐ。

まだ湯気の立つパンに、薄くバターを塗って、一口。
レーズンのやさしい甘みと、ふわっとした生地のやわらかさが口に広がる。
くるみの香ばしさもところどころ感じられて、ひと口ごとに楽しい。

窓の外は曇りがちだけれど、雨は降っていないようだった。
まだ朝の空気はしっとりとしていて、外からは鳥の声が少しだけ聞こえている。

ゆっくりとパンを味わいながら、カフェオレを飲む。
目がすっかり覚めてきて、今日も静かな朝が始まる。

パンを一枚ずつ、味わいながら食べ進める。
焼きたてのパンは、ただ食べるだけでなく、その場の空気までやわらかくしてくれる気がする。

こういう朝があると、また次はどんなパンを焼こうかと考えたくなる。
ホームベーカリーは、ただ便利な道具というだけでなく、暮らしの中に小さな楽しみを加えてくれる存在だなと、改めて思う。

食後のカップを片づけて、パンの残りをスライスして保存用に包んだ。
明日の朝もまた、トーストして楽しめそうだ。

台所を整えたころには、部屋の明るさも少し増していた。
曇り空でも、焼きたてのパンの香りとともに迎える朝は、やわらかで心地よいものになる。

▼しずかな時間に馴染むもの▼

ホームベーカリーがあると、暮らしの中に静かな楽しみが増える気がします。
焼きたてのパンの香りに包まれる朝は、やはりちょっと特別ですね。

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