しずかな午後に焼くチーズケーキ

朝、少し早めに目が覚めた。
外はもう明るくなっていて、空気がやわらかい。
今日は午後にチーズケーキを焼こうと思っていた。
少しだけ手をかけて、ゆっくりと整えていくのがいい。
そんな気分の朝だった。

いつものプレーンヨーグルトが冷蔵庫にある。
チーズケーキに使うなら、
水切りをして少し濃厚にしておきたい。
その方が生地のなめらかさが違ってくる。
ゆっくり時間をかけて仕込むと、
味も落ち着いたものになる。

引き出しから ヨーグルトストレーナー を取り出す。
使い慣れた道具。
何も難しいことはないけれど、
こうして朝のうちに準備をしておくと、
午後の台所の時間が整う気がする。

ガラスのボウルの上にセットして、
スプーンでヨーグルトをそっとすくって入れていく。
なるべく表面が平らになるように、
ひとつひとつ、ゆっくりと。
蓋をして冷蔵庫へ。
あとは時間が整えてくれる。

ストレーナーに入ったヨーグルトは、
数時間のあいだに静かに変わっていく。
余分な水分が少しずつ落ちて、
なめらかで濃い質感になっていく。
待つ時間そのものが心地よい。
台所に静かな余白が生まれる。

午前中はほかの家事をしながら過ごした。
本を読んだり、洗濯をしたり。
ふとした瞬間に冷蔵庫の方に目が行く。
そのたびに、
今も静かに整っているものがある、と思う。
そういう気配が台所にあるだけで、
少し気持ちが落ち着く。

昼を過ぎて、頃合いを見て取り出す。
蓋を開けると、
ヨーグルトの表面がきれいに整っている。
スプーンを入れると、
すっとすくえる重みがある。
なめらかで、ほどよい柔らかさ。
これならチーズケーキにぴったりだと思った。

オーブンを予熱し始める。
その間に生地の準備をする。
ボウルに卵と砂糖を入れて、よく混ぜる。
そこに水切りしたヨーグルトを加える。
ゆっくりと混ぜながら、
クリームチーズを加えてさらに混ぜる。
滑らかになるまで、静かに手を動かす。
レモンの皮をほんの少し削って加えると、
香りがやわらかくなる。

型に流し入れて、トントンと空気を抜く。
オーブンの中にそっと入れて、
あとは焼き色を待つだけ。
焼いている間の台所は、
ゆっくりと甘い香りに包まれていく。

時間が経つほどに、香りが濃くなる。
オーブンの中のケーキが少しずつ膨らんで、
表面にうっすら焼き色がついていくのを眺める。
この時間が好きだ。
何もせずに待つだけなのに、
台所がしずかに整っていく感じがする。

焼き上がりの合図が鳴って、
オーブンを開ける。
湯気とともに香りがふわっと広がる。
ほんのり焼き色のついたケーキを取り出して、
粗熱を取る。
その間も、台所には甘い香りが残っている。

冷めたら、冷蔵庫で少し休ませる。
すぐに食べてもいいけれど、
少し置いた方が味がまとまる。
その待つ時間さえ、今日は楽しみだった。

夕方、そっと取り出して、
小さめの皿に切り分ける。
スプーンでひと口。
なめらかで、やわらかな口当たり。
ヨーグルトの酸味がほんのり残っていて、
甘さが軽やかに感じられる。

朝に仕込み、午後に焼いて、
夕方に味わう。
そんな流れの中に、
ヨーグルトストレーナーが自然に馴染んでいた。

特別な道具ではないけれど、
こうして少しずつ整えていく時間を作ってくれるのがいい。
また近いうちに、
今度は違う果物を合わせてみようか。
そんなふうに考えながら、
今日のチーズケーキを静かに味わった。

▼ しずかな暮らしに馴染むもの

ヨーグルトストレーナー
ゆっくりと整えて、
味わいの深まる素材を作ってくれる道具。
朝からの時間がやわらかく流れていきます。

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