火にかけて淹れる、濃い一杯

朝ごはんのあと、なんとなく濃いコーヒーが飲みたくなる日がある。
いつもならドリップで淹れているところを、今日は気分を変えて、グローシュの直火式エスプレッソメーカーを手に取った。

この小さな道具を初めて見たとき、おしゃれだな、と思った。
ころんとしたかたちに、金属の鈍い光。キッチンに置いておくだけでも様になる。
もちろん見た目だけじゃなくて、火にかけて本格的なエスプレッソが淹れられるというのも魅力だった。

いつもより少しだけ丁寧に豆を量って、細かめに挽いた粉をフィルターに詰める。
水を入れ、パーツをしっかり閉じて、弱火のコンロにのせる。
静かなキッチンに、かすかな金属音が響く。
湯が沸いて、少しずつコポコポという音がしてくると、ああ、始まったなと思う。

この時間がいい。
音を聞きながら、部屋の片づけをしたり、カップを用意したり。
焦らず、急がず、コーヒーができるのを待つ。
やがて小さなポットから、濃い琥珀色の液体が少しずつ湧き上がってくる。
立ちのぼる香りに、少し背筋が伸びる。

カップに注いで、湯気の落ち着くのを待ちながら、一口。
香ばしく、舌に残る苦みが心地いい。
普段のコーヒーも好きだけれど、たまにはこうしてしっかりとした味を楽しみたくなる。
その「たまに」の時間に、このエスプレッソメーカーはぴったり合ってくれる気がする。

見た目はシンプルで、主張は少ないけれど、使ってみるとちゃんと存在感がある。
部屋の空気が少しだけ引き締まるような、そんな役割を果たしてくれているように思う。

エスプレッソを飲み終えても、まだほんのり香りが残っている。
道具を洗って、元の場所に戻すと、またすこしキッチンが整う。
次はいつ使おうかな、と考えながら、静かな時間のなかで、少しずつ一日が動き始めていく。

最初にこのエスプレッソメーカーを使ったのは、たしか肌寒い春の日だった。
手に取ったときの重さや、火にかけるという工程に、ちょっとした緊張感があった。
けれど一度使ってみると、思っていたよりもずっと手軽で、すぐに慣れてしまった。
ガスの炎が小さく揺れているのを見つめながら、ゆっくりとコーヒーができるのを待つ時間が、今ではすっかり気に入っている。

このエスプレッソメーカーで淹れるコーヒーは、少しだけ気持ちを切り替えたいときにちょうどいい。
忙しい日の朝というよりは、時間にゆとりがある日や、何かに一区切りついたとき、午後にもう一杯飲みたいなと思ったとき。
カフェに行く代わりに、家でこんな風に過ごせるのは、なかなかいいものだ。

飾るためのものではないけれど、使っていてうれしくなる形というのは、やっぱり長く使いたくなる理由になる。

午後の光が入ってくる時間に、もう一度火にかけてみた。
朝よりも落ち着いた気分で、今度はほんの少し砂糖を加えて。
小さなカップを両手で包みながら、ゆっくりと飲み干す。
こういうひとときを作れるのは、家で過ごす時間があるからこそだと思う。

どんな道具も、使わなければただのモノにすぎないけれど、
こんなふうに少しずつ習慣になっていくと、そこには静かな意味が生まれてくる。
グローシュのこのエスプレッソメーカーも、そうして自分の暮らしに馴染んできた。
目立たず、でも確かに気持ちを整えてくれる、そんな存在だと思っている。


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