午前中の、まだ少しひんやりとした空気のなか。
今日は外で甘いものを焼いてみようと思っていた。
そんなに大げさなものではない。
バナナとリンゴ、それからフレンチトースト。
ほんの少し材料を持って、静かな場所に出かける。
それだけで、気分が少し変わる。
家で簡単に準備する。
バナナは皮をむいて半分に切る。
リンゴは薄めにスライス。
パンは卵液に浸しておく。
卵と牛乳、ほんの少し砂糖を加えて混ぜた液に、パンをゆっくり浸す。
直火式のホットサンドメーカーも持っていく。
折りたたみ式で、コンパクトにまとまるので、外で焼くときにはとても便利だ。
シングルバーナーと一緒にバッグに詰めた。
今日は原付でゆっくりと出かける。
少し遠回りして、静かな場所を目指す。
道はまだ静かだった。
朝がゆっくり進んでいるような空気。
原付で風を感じながら走ると、それだけで心がほどけていく。
地図で見つけておいた場所に着く。
人の少ない広場のようなところ。
木陰が心地よさそうだった。
原付を止めて、荷物をおろす。
小さなテーブルを出して、道具を整える。
ホットサンドメーカーとシングルバーナーをセット。
バターも少し持ってきていた。
まずはバナナから焼くことにする。
ホットサンドメーカーにバターをひと切れ落とす。
じゅっ、と小さな音がして、甘い香りがふわりと広がる。
そこにバナナをそっとのせる。
焼き目がつくまで、ゆっくりと待つ。
外で焼くと、この「待つ時間」さえも楽しい。
バナナの香りがだんだんと濃くなってきた。
バターとバナナの甘い香りが静かな空気に溶けていく。
焼き色がついたところで、裏返してもう片面も焼く。
とろりとした仕上がりになる頃には、あたりにすっかり甘い香りが漂っていた。
次はリンゴを焼く。
同じようにバターを溶かし、スライスしたリンゴを並べる。
じっくりと火を通していくと、リンゴの甘みが引き出されて、香りもやわらかくなる。
薄く焼き色がついたところで、火を止めた。
最後にフレンチトーストを焼く。
卵液に浸したパンを、じっくりと焼いていく。
バターがじゅわっと染み込んで、表面がこんがりと色づいていく。
パンの香ばしい香りと卵のやさしい香りが、あたりにふわりと漂う。
焼きあがったバナナ、リンゴ、フレンチトーストをお皿に並べる。
まずはフレンチトーストをひと口。
外側はカリッと、中はふんわり。
やさしい甘みが口の中に広がっていく。
バナナはとろりと柔らかく、バターと砂糖の香ばしさが加わって、とてもやさしい味わいになっていた。
焼いたリンゴも、甘みが凝縮されていて、ほんのり酸味が心地よい。
外で焼いた甘いものは、家で食べるのとはまた違ったおいしさがある。
空気の中に香りが溶け込んで、ひと口ごとにその静けさが染みわたっていく。
ときどき風が吹いて、木々の葉が揺れる音が聞こえていた。
静かな場所で、甘いものを焼いて食べる。
それだけのことだけれど、こんなふうに時間を過ごすのはとても豊かなことだと思う。
食べ終えて、片づけをはじめた。
ホットサンドメーカーも、さっと拭いて折りたたんでバッグに収める。
こういうコンパクトな道具があると、外での料理がぐっと気軽になる。
荷物をまとめて、原付に積み込む。
帰り道も、静かな気持ちのまま走った。
また違う果物でも焼いてみようか。
そんなふうに思いながら、家へと向かった。
ホットサンドメーカーがひとつあると、外でも甘いものを焼いて楽しめる。
ふだんの食事とはまた違う、静かな甘い時間が生まれる。
またこういう日を作ろう。
▼しずかな時間に馴染むもの▼
ホットサンドメーカーがあると、外でも甘いものを焼くのがとても気軽になります。
静かな場所に持って行って、香ばしい甘い時間を楽しむのにもぴったりです。

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