湯気の向こうに休む午後

6月の半ば。
昼間はすっかり暑くなる季節だけれど、朝はまだひんやりとした空気が残っている。
梅雨入り前の晴れ間で、空はよく晴れていた。

今日は原付で少し遠回りして走ってみようと思っていた。
朝のうちは空気が澄んでいて、静かな道を走るのが気持ちいい。

ただ、こういう時期は走っていると意外と体が冷えてくる。
原付は風をそのまま受けるから、長く走っていると腕や首筋がひんやりとしてくる。

そんなこともあろうかと、小さなやかんとシングルバーナーをバッグに入れてきた。
お茶の葉とカップも一緒に。
途中で少し休んで温かいお茶でも飲めば、きっとちょうどいい休憩になる。

原付のエンジンをかけて、静かな道へ。
朝の光が道の端に柔らかく差し込んでいる。

走りはじめると、思ったより風が冷たく感じられた。
陽ざしは出ているけれど、風はまだ春の名残が残っているような冷たさ。

腕に風が当たって少しひんやりする。
グローブの中の指先も、しばらく走ると少し冷えてきた。

そんな具合で30分ほど走ったところで、休憩したくなった。
体が少し冷えてきて、温かいお茶が恋しくなる。

地図で見ておいた広場に向かう。
平日だからか、人の気配はない。
木がやわらかく揺れていて、風の音が心地よい。

原付をとめて、バッグから道具を取り出す。
小さなテーブルを出して整える。
こうして準備をする時間もまた、いいものだ。

やかんに水を入れて、シングルバーナーをセット。
火をつけると、静かな音が聞こえてきた。

湯が沸くまでの間、手をこすりながら待つ。
風にあたって少し冷えていた手先に、じんわりとした温かさが戻ってくる感じが心地いい。

お茶はほうじ茶を選んだ。
香ばしい香りが湯気とともに立ちのぼってくる。

やかんから静かに湯を注ぐ。
湯気がふわりと広がる。

カップを両手で包むと、温かさがやさしく伝わってくる。
一口飲めば、走ってきたときの冷えが少しずつ和らいでいく。

朝の冷たい風のなかを走ってきたあとに飲むお茶は、また格別だ。

ときおり風が木々の間を抜けていく音が聞こえる。
その音に耳を傾けながら、ゆっくりとお茶を飲んでいた。

湯気の向こうに見える景色もやわらかく感じられる。
お茶の香りに包まれて、静かな時間が穏やかに流れていく。

飲み終えて、やかんをさっと拭く。
こういう道具があると、ほんの短い休憩でもきちんと整った感じになる。

折りたたんでしまえば、荷物もかさばらない。
テーブルをたたみ、バッグに道具を収める。

原付にまたがる頃には、体の冷えもすっかり和らいでいた。

帰り道は陽が高くなってきて、風も少しやわらかくなっていた。
こうして途中でお茶を飲む休憩を入れながら走るのも悪くない。

また季節が進んでも、こういう時間は続けていきたい。
静かな場所で湯をわかす。
そんな小さな時間を、これからも少しずつ重ねていこう。

▼しずかな時間に馴染むもの▼

やかんがひとつあると、外でもお茶をわかして楽しめます。
コンパクトなものを選べば、出かけた先にも持って行きやすく、
こうした小さな休憩の時間にぴったりです。

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